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人数が集まる場所でのオンライン会議の音声をなんとかする 1

(初稿 2023.1.9)

zoom, cisco webex, microsoft teams, などなどオンライン会議の話。結構お悩みの方が多い、次のようなケースを考えてみます。

  • 基本的には職場や自宅からひとり1台の端末で出席
  • ただしメイン会場(?)には何人も集まる

会議に限らず、オンライン講演会でもあり得ます。

  • 講師は自宅から参加
  • 受講生も自宅からひとり1台の端末で参加
  • ふだんよく集まる人たちは一か所に集合して参加、質問などの発言もある

こういうとき、集合する場所において特に音声をどう拾ったらよいものやら悩みます。普通に会議用のマイク・スピーカを用意して会議を始めたのはいいけれど、参加者から『言葉が聴き取りにくい』と言われるケースは多いようです。

この課題の解決法はいくつかありますが、その中からひとつの提案としてこのページを書きます。

USBオーディオインターフェイスを使う

いきなり答えです。USBオーディオインターフェイスを使いましょう、というのが提案のひとつです。

USBオーディオインターフェイス(以下 AIF)はかなりの種類が市販されていますが、下記の条件で選ぶと初心者でも取り扱いが楽です。

  • 入力2系統(マイク2本まで)で出力2系統(左出力が1つ、右出力が1つ)のもの。『2in, 2out』という表記がよくなされます。
  • USB CC = USBクラス・コンプライアント に対応しているもの

USB CC について詳しく知る必要はありません。USB CC 対応機器だと、windowsに特別なドライバーをインストールしなくてもUSBでつなぐだけで使用でき、また、iPhone, iPadも『カメラアダプタ』経由でそのままつなげるという利点があります。

マイクが2本使えるから

司会+演者、講師+質疑、などといったマイクの使い分けができます。

スピーカーでマイクの声も参加者の声もみんなで聴ける

これが実現できないのが悩みの大部分を占めます。これが解決されます。

ここで、ちょっとAIFを知っている人、特に宅禄(自宅レコーディング)する人は、2本のマイクが左右に振り分けられて都合が悪そう、とお思いでしょう。しかし『たまたまそうだった』ということで解決されます。

ダイレクトモニターはほぼモノラル

これは取説を見る必要がありますが、2本のマイクが図のスピーカーの左右に振られることはなく、モノラルでモニターに出ていく機種が多いです。

オンライン会議システムも基本はモノラル

ではUSBで入力させたPC上でどうなるかというと、2本のマイクは左右に振られます。しかし、オンライン会議システムは特別な設定をしない限りモノラルなので、結果として問題は発生しません。

そんなわけで、図のように接続してPCを適切に設定すれば、手持ちマイクを2本、自由に使えることになります。これができないケースでは、1台のPCの前に発言者が入れ代わり立ち代わりで発言するしかありません。

工夫することと注意すること

読みやすさのために図を再掲しました。

カメラは外付けのUSBカメラに三脚を

こうしておけば、必要に応じてカメラの向きを好きに変えられます。発言者を大写しにしたりといった調整はほとんどのウェブカメラでできないでしょうけれど、まったく向きを変えられないのに比べると格段に運用しやすくなります。

なお、USBコネクタに変な力がかからないようにしましょう。ちょっとコネクタが動いたことでカメラが止まることもあります。

使うPCはひとつの室内で1台だけ

これはどんなシチュエーションであれ、ひとつの室内で2台以上の端末がオンライン会議に参加すると、ほぼ確実にハウリングに悩まされます。

どうしてもPCを増やすのならマイク絶対OFF+イヤホンつなぎっぱなしに

zoomでは『画面共有』と言いますが、資料を画面に出すとき別のPCが欲しい時があります。また、チャットに対応するためのPCが別途欲しい時もあります。そんなときは別のPCを持ってきても良いですが、マイクは絶対にONにしない(ミュートにしたまま)で、イヤホンをつなぎっぱなしにしておきましょう。

なおこうしておくと、そのPCのイヤホンで、音声がどのように他の参加者に聞こえているかを確認することもでき、ちょっと便利です。

AIFのループバックは切っておく

この意味が分からない人は放置でOKです。AIFを買って初めてつないだあと、特別な設定をしない限りはループバックはオフになっているはずです。

ループバックがONになっていると、他の端末の参加者の声がAIF経由でスピーカに出るまではいいのですが、これがさらに再度PCに入力されることになり、ハウリングや強烈なエコーの原因となります。

スピーカの選択

図はパワードスピーカのつもりでパワーアンプを省略して描いてあります。パワードスピーカがなければパワーアンプとスピーカというふうに理解してください。

まあ、会議室に転がってるアンプ内蔵スピーカでもいいし、10人くらいならスマホの音楽をみんなで聴くようなスピーカでも大丈夫でしょう。

AIFの調整:モニターバランス

これは機種によりけりですが、このsteinberg UR22mkIIだと、

  • 右端の『OUTPUT』で全体の音量を調整
  • 『MIX』でPCから出てくる音の音量と、マイクの音の音量のバランスを調整

するようにできています。ここが感覚的に多少分かりにくいかもしれませんが、慣れればどうってことありません。

応用の範囲は広いです

この、2in/2outのAIFを用いた仕込みは、結構応用範囲が広いです。パネルディスカッションのように発言者が3名以上並ぶしさらに司会と質疑マイク、ってことでもなければ、多くの場面で活用できるでしょう。

これをぐっとぐっと拡張すると、この画像のようなことになります。

zoomからも参加できる式典の様子で、舞台袖からステージを望んだものです。司会者あり、祝辞あり、小さなコンサートあり、映像放映あり、というのをzoomにも送り出すという面倒くさい現場でした。これは2in/2outなんてかわいいものではなく、カメラの配置を含めかなり複雑な仕込みをしています。PAの知識と経験があればこんなこともできるよ、という事例でした。あまりみなさんの参考にはならないと思いますが。