PA初心者必携ウェブサイト(?)
卓(ミキサー)にエフェクターを接続してエフェクトをかけるというのは、特にライブのステージでは漠然とは分かっても実際どんなふうにするのか、慣れるまではイメージしにくいものです。ここでは、あくまで初心者のために初歩的なことを書いていきましょう。初歩的とは言っても卓の構造、特に信号のルーティング(どういうルートを通して音声信号を出力させるか) をよく理解する必要があります。
このページは、モニターの出し方のページで、『AUX』 『プリフェーダー』 『ポストフェーダー』 という言葉の意味を理解しているという前提で書いていきます。PAで使うエフェクターというのは、ギターやベースのそれと違って、ミキサーの入力から出力までの間に『並列に接続する』というイメージのつなぎ方になります。楽器用のエフェクターは直列にどんどんつなぎ足していくので、この感覚をそのままPAに持ち込むと理解しにくくなります。
まずは簡単な仕込み図でイメージを。理解の簡単化のためにモニター系統は描いていません。エフェクターは、
という使い方をします。『あ!』 と叫んだ声にリバーブをかけると 『あ!ぁぁぁぁ…』 という音になりますが、エフェクターからは 『ぁぁぁぁ…』 という信号だけが出てきている(※1)のです。つまり、『あ!』 という直接音と、『ぁぁぁぁ…』 というエフェクト成分をミキサーでミックスすることで、『あ!ぁぁぁぁ…』 という音にしているのです。
『あ!』 の部分を、DRY(ドライ)信号と呼びます。『ぁぁぁぁ…』 の部分は、WET(ウェット)信号と呼びます。
PAで使うエフェクターは DRY信号を受け取って WET信号を生成して出力しますが、実際には DRY と WET をエフェクター内部でミキシングして出力するものも多いです。その場合、DRY と WET の割合を調整できるようになっています。WET を 100% にすれば DRY が 0% となって、純粋にエフェクト成分だけを出力させられます。
エフェクターへ送る信号は、ポストフェーダーAUX を使います。ミキサーの上にあるAUX出力には、プリフェーダーとポストフェーダーがありますが、このことについては信号の流れを図示してこのページに書いてありますので、よく理解しておいてください。
こんな現場を想定してみましょう。
このページでも使った仮想ミキサーの仕様は
ボーカルマイクはミキサーの CH-1 と CH-2 につなぎました。エフェクタへの送りは、ポストフェーダーである AUX 2 を使います。ミキサーの背面あたりに、AUX 2 の出力がありますので、これをエフェクタの INPUT につなぎます。ここに例として挙げた YAMAHA SPX2000 はステレオ入力ですが、左 (LEFT) に突っ込んでおけば大丈夫でしょう。
エフェクタからの戻しは、エフェクタの出力 L / R をそれぞれ CH-3 と CH-4 に入力させます。チャンネル数が足りない場合、L だけを入力させてもいいでしょう。
モニタースピーカを仕込む場合、AUX 1 からパワーアンプ、スピーカを接続します。くわしくはこのページ。
CH-1 と CH-2 だけ AUX 1 に送れば、ボーカルの声だけがモニタースピーカから出てきます。
さらに、CH-3 と CH-4 も AUX 1 に送れば、エフェクト成分(リバーブなど)もモニタースピーカから出てきます。
歌い手さんによって、リバーブをたっぷり返してくれ(モニターに出してくれ)という人もいれば、リバーブは一切返さないでくれという人もいます。このへんはコミュニケーションを取りながら作っていきましょう。