PA初心者必携ウェブサイト(?)
ハウリング抑制のページで書いたようにGEQ(グラフィックイコライザ)は必須機材と考えた方がいいです。で、GEQはミキサーとパワーアンプに挟み込むようなつなぎ方をします。ホームオーディオでも同様ですよね。PAでGEQをつなぐ必要性は、以下のページを参照してください。
ミキサーにはステレオ出力以外の出力端子がたくさんあります。ここではステレオ出力のみに注目し、XLRジャックで出ているL/Rの出力を、GEQの入力に接続します。
ミキサーまでは『右・左』というステレオの概念がありますが、そこから先の機材には L/R なんて書き方はしてありません。CH1/CH2 または CH-A/CH-Bという表記になっています。なんでそうなってるかというと、必ずしもパワーアンプをステレオで使うとは限らないからです。たとえば、CH-Aをボーカルへのモニタ、CH-Bをドラマーへのモニタ、なんて使い方もあるわけで。
そんなパワーアンプを客席向けスピーカに使う場合、慣例的に左をCH1(A)、右をCH2(B)にすることが多いようですので、この図でもそのようにつないでみました。
ミキサーにもEQにも、XLRジャックとホーンジャックが出ています。ここは可能な限りXLRで統一して接続するようにしましょう。なんといっても安定感抜群なバランス伝送ですし、XLRコネクタはその構造上、接触不良が発生しにくいのです。
ホームオーディオで言えば、EQとパワーアンプをつなぐ作業だね。ってそのまんまか。
GEQのOUTPUTからパワーアンプのINPUTに接続します。つなぎ方自体何も難しいことはないけど、左=CH-1(A)、右=CH-2(B)、という関係を常に意識しておいてくれ。
最近のパワーアンプは、サブウーハへの出力を持っていたり、リミッターを内蔵していたりして、入出力端子や設定用のトリマが増える傾向にあります。いろんなものにだまされないようにしようね。基本的に、使わないモノは触らない、つながない、という考え方でOK。詳しくは説明書参照。
ひとつだけ注意点。パワーアンプの多くが2つの動作モードを持っています。『ステレオ』と『ブリッジ』です。機種によっては『(他の何か)』と『ブリッジ』となっているものもあります。小さなスイッチで切り替えるようになっています。ここでは『ステレオ』、少なくとも『ブリッジ』ではない方にしておきましょう。
ステレオモードでは、CH-1(A)に入力された信号がそのまま増幅されてCH-1(A)のスピーカ端子に出力されます。もう片チャネルも一緒。
一方のブリッジモードではBTL動作となり、(多くは)CH-1(A)に入力された信号が内部でCH-1(A)とCH-2(B)に分けられ、スピーカ端子のCH-1(A)+とCH-2(B)+に出力されます。つまりモノラルアンプとして動作し、出力は理論上2倍になります。ただしスピーカの定格インピーダンスもおおむね倍の値になります。アンプによっては、ブリッジモードのことをモノラルモードと表記しているモノもあるようです。説明書等をよく確認してください。
このサイトではブリッジモードを扱いません。めんどくさいんでごめんね。
淡々と書いてきましたがいよいよ佳境です。
スピーカとパワーアンプの接続って、ケーブル選定がめんどくさいのよね。先バラとスピコンとホーンがごちゃごちゃ混在してて、手持ちのスピーカケーブルが他のPA屋さんで使えるということがない。キャノンコネクタ最強(嘘)説もあって、実は私もBOSE 101程度用にキャノンコネクタを使ったスピーカケーブルを作って常用しています。これまた音響屋さんによってピンアサインがまちまちで。ことスピーカケーブルについては、俺様専用がまかり通ってるってのが現状だな。
でも今は世の中の流れがおおむねスピコンに移行した感じです。でもスピーカの方がホーンジャックしかついてなかったり、BOSEの802なんかキャノンコネクタ前提だったりするし。そんなわけでキリはありませんが、ここではスピコンで統一しますね。なおスピコンコネクタにはNL2とNL4の2種類があります。スピーカケーブルを買う時、どっちがいいか分からない場合はNL4にしときましょう。詳しいことは後日書きます(2023.1.5現在)。
余談が長くなりました。まずパワーアンプのCH-1(A)の出力から、左に設置したスピーカに接続します。CH-2(B)出力から右のスピーカも同様。左右はステージに向かっての話です。
スピーカの裏には端子が2つあるものが多いけど、まさかと思うけどアンプの出力をここに1本ずつつなぐんじゃないぞ。スピーカ背面の端子のどちらか好きな方につなげばOK。どうなっているかっていうと、ほとんどの場合この2つの端子は並列になっていて、いざって時は空いてる方の端子からケーブルを出してもう1本のスピーカを増設できるんだ。つまり、スピーカの並列接続用の端子ってこと。でもせいぜい2本を並列につなぐのが限界。あまりやるとスピーカ全体のインピーダンスが下がって、全体の出力が上がるのはいいんだけどアンプ内での熱損失も増えてアンプを焼損してしまう可能性があります。