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本番のオペレート 入場周辺

さて、いよいよ本番です。

ここでは進行の前半のみを書きます。ウェルカム~入場~乾杯までをやってしまえば、基本的なテクニックはほとんど網羅してしまいます。 とりあえず仮に、途中までですがこんな進行で考えてみましょう。

1 ウェルカム(迎賓)

列席のお客様を会場へお迎えするシーンです。基本的に演出的な動きはなく、PCさんがいろいろ案内のアナウンスを入れたりする場面です。

2 新郎新婦入場

いよいよです。新郎新婦が披露宴会場に入場します。入場してからメインテーブルに到着するまでを音で演出する大事なシーン。『入場曲をかけるだけ』 と言えばそれまでですが、それだけで済ませるのはちょっと寂しいです。

3 開宴挨拶

もともとは媒酌人が二人の生い立ちやなれそめなんかを喋るところでしたが、最近は少数派。MCさんからのプロフィル紹介で替えることが多いです。音なしでという会場もあるようですが、ここでも軽くBGMを出してあげると、MCさんも喋りやすいようです。

このページでは、2.新郎新婦入場にスポットを当てます。さきほども書いたように、ここを一通りやってしまえば、披露宴全体で使うテクニックをほぼすべて網羅してしまいますので。

オペレート:ウェルカム(迎賓)

あはは。な~んも書くことありません。 控えめに、いわゆるBGMをベタ流しにしておくだけです。音楽をただBGMとして流しっぱなしにするのを私は『ベタ流し』と表現しています。

関係ありませんが、昔流行りかけて短期間で廃れたビデオの『ベータ』という規格は、テープ全面を『べたっ』と使うのでこう名づけられたそうです。テープ面に隙間を残すVHSと比較してのネーミングとか。

曲によってはMCさんのアナウンスを邪魔することがあるので、そこだけ気をつけておきましょう。技術よりも、季節とか会場の雰囲気に応じたジャンル選定が大事です。

慣れてくると、だいたいお客が席についた時の雰囲気で披露宴全体の雰囲気が予測できるものです。ロマンチックで洒落た感じになるのか、ド宴会になるのか・・・・・・この時点で、予め組んでいた宴中のBGMの構成を頭の中で組替えたりします。で、MCさんにも 『今日はなんとなく・・・・・な感じになりそうじゃない?』 なんて声をかけておき、お互いの覚悟のテンションを調整します。

オペレート:新郎新婦入場

緊張の一瞬です。初めてオペレートする方は最高血圧が200を超えそうですね。

他のスタッフとの連携も非常に重要です。これについてはこのページで確認しましたので、ここではMCさんとの絡みを含めた音の出し方に集中して書いていきます。このMCさんとの絡みが、印象をものすごく左右します。しつこいようですが、MCさんと息を合わせられるかどうかで完成度は全然違ってきます。

状況が許す限り、開宴前にMCさんとリハしておいた方がいいです。少なくとも、入場曲の先頭30~60秒程度は聴いてもらうことだけはしておくべきです。そうしておけば、MCさんも本番で慌てることがありません。

そして最低限、MC先行か音先行かを決めておきます。MCさんのナレーションを先に出すのか、曲を先に出すのか、ということです。前奏が15秒以上あるようなら、音先行にしておくのが無難です。

  1. ウェルカムの段階で、入場曲をすぐ出せるようにPAUSEしておきます。
  2. ドアの外から、新郎新婦の入場準備が整ったという連絡が入ります。
  3. 入場シーンの前に、『もうすぐ入場だよ』とアナウンスが入るのが一般的でしょう。
  4. そのアナウンスが終わった後、ひと呼吸置いて、入場曲を強めに出します。少々うるさいくらいに出すのが吉。『あ、ちょっと小さい・・・』 と、後から煽るのはかっこ悪いです。そして、一瞬だけうるさくした上ですぐに少し小さくして、MCさんに入る余地をあげます。
  5. MCさんが喋ります。MCさんの邪魔をしないように、それでも 『迫力』 を失わないように、微妙なフェーダの調整に専念しましょう。
  6. MCさんが 『ご入場です!』 と喋りきりました。ここでボーカルが入ってきたら最高ですね(^^)。まあ、ボーカルが入ろうが入るまいが、ここで一気に音を煽ってドアオープンです。
  7. 煽ったままだとうるさくて仕方ないので、客の耳の気持ち(なんじゃそりゃ?)を考えながらテンションを保ちながらもうるさくない程度にしておきます。そして常に、新郎新婦・MCさんの挙動に注意を払っておきます。
  8. ドアオープンから新郎新婦着席までの間、MCさんがなんらかのコメントを入れることがあります。その時はすかさずフェーダを下げ、気持ちよく喋ってもらいましょう。MCさんの手元や肩に注目していれば、『あ、来るかな。』 というのが分かります。でも、ちょっとした挙動にだまされることも多々。

少し脱線します。この記事を書いた当時はCDとMDの全盛期でしたが、2020年代の今はPCDJ、タブレットのDJアプリが便利でいいですね。

オペレート:新郎新婦メインテーブルへ

さていよいよ二人がメインテーブルに歩み寄っていきます。テーブルに揃ったら、まず間違いなくここで拍手をもらってから二人を着席させるというのがお決まりのパターンですね。

  • 次に出す軽いBGMをPAUSEしておきます。
  • おそらく、新郎新婦がメインテーブルのヒナ段に近づいたあたりから、MCさんがいろいろ喋ることでしょう。図中の『新郎新婦到着のアナウンス』の部分です。
  • 当然ですが、MCの邪魔をしない程度の音量を維持します。
  • その間に新郎新婦がメインテーブルに到着します。アナウンスの最後はは多分『大きな拍手を・・・』という感じでしょう。ここで一気に煽りましょう。
  • 私は、ここだけは少しだけMCさんにカブせるように煽っていきます。私との絡みに慣れたMCさんは、やっぱり来たか!とばかりに声を煽ってくれます。まあ、やりすぎない程度にね・・・
  • 煽ったら、煽った瞬間から1・2・3と数えて、それから滑らかにフェードアウトします。
  • 入場曲が消え去る直前に、次の軽いBGMをそっと出します。つまり、入場曲を片手でフェードアウトしながら、もう片方の手でBGMをぽん、と。BGMは、曲の出足を明確にしながらそれでも 『さりげない』 出し方が美しいです。
  • 慣れないとちょっと難しいけど、『もしかしたらちょと大きいかな?』 程度に出しておいて、『やっぱりちょっと大きかった』ら、適宜調節すればいいです。
  • あとはMCさんが、開宴のコメントやら、二人のプロフィルやらを喋っていきますね。このあたりは進行表しだいってことで。
  • このまま来賓祝辞にいくのなら、BGMはスピーチャが喋り始める直前までかけておきます。状況しだいでは、来賓祝辞の間もずっと軽いBGMをかけ続けることもあります。この場合はそれなりに曲数を揃えておく必要があります(いるんだよ、長いヒト・・・)。

4~5の、煽り~フェードアウト~BGM出しは、自然な感じで滑らかにテンポ良くいきましょう『どの程度の時間をかけたらいいのかな?』と悩んでいるうちに冗長になって、間延びした感じになってしまうことのないように。FMの音楽番組、テレビニュースのオープニングが参考になります。

『軽めのBGM』 がプロフィル紹介にかかる場合、どの程度の尺(時間)になるか事前に確認し、ちょと長そうだったらそれに見合った曲数を準備しておきましょう。原稿があればそれを見せてもらうとか・・・開宴のあいさつなんかで結構冗長になる部分ですから、1曲は余分に用意しておきましょう。極力似たような曲で、つなぎ目が分からないようにクロスフェードでつないでいきます。MCさんが喋ってる間にクロスフェードをすれば、そんなに目立つものでもありません。

また、『開宴挨拶』 『新郎のプロフィル紹介』 『新婦のプロフィル紹介』 で別々に曲を用意しておいて、軽いシーンチェンジを兼ねて曲を変えるのもひとつのテです。でもやりすぎると演出過剰っぽくなってうっとうしいかもしれませんね。センスが問われるところです。

さらに、『新郎のプロフィル』と『新婦のプロフィル』の境目を見極めるのは慣れるまで大変です。可能なら事前にMCさんと打ち合わせを。

まとめ

7ページにわたって書いてきました。概念的なことにかなりボリュームを割いています。最初から最後まで読み切る方がどれだけおられるか分かりませ。途中を飛ばした方もおられるでしょう。それはそれでいいのです。『そんなの分かってるよ』という部分も多いはずですし、退屈で飛ばされたのなら退屈なテキストを書いた私が良くないのです。

技術を磨くのはとても大切です。MCさんのモチベーションがPAの技術とセンスにかなり左右されることもありますし。

同様に、人としての感性も大切にしましょう。結婚式1本で交流する人の数は一人や二人ではないはずです。すべての人と穏やかな関係性をつくり、お互いにモチベーションを高いレベルで維持できるチームでありたいですね。そのことも素敵なパーティをつくる素材のひとつだと私は信じています。