PA初心者必携ウェブサイト(?)
さて、いよいよ本番です。
ここでは進行の前半のみを書きます。ウェルカム~入場~乾杯までをやってしまえば、基本的なテクニックはほとんど網羅してしまいます。 とりあえず仮に、途中までですがこんな進行で考えてみましょう。
列席のお客様を会場へお迎えするシーンです。基本的に演出的な動きはなく、PCさんがいろいろ案内のアナウンスを入れたりする場面です。
いよいよです。新郎新婦が披露宴会場に入場します。入場してからメインテーブルに到着するまでを音で演出する大事なシーン。『入場曲をかけるだけ』 と言えばそれまでですが、それだけで済ませるのはちょっと寂しいです。
もともとは媒酌人が二人の生い立ちやなれそめなんかを喋るところでしたが、最近は少数派。MCさんからのプロフィル紹介で替えることが多いです。音なしでという会場もあるようですが、ここでも軽くBGMを出してあげると、MCさんも喋りやすいようです。
このページでは、2.新郎新婦入場にスポットを当てます。さきほども書いたように、ここを一通りやってしまえば、披露宴全体で使うテクニックをほぼすべて網羅してしまいますので。
あはは。な~んも書くことありません。 控えめに、いわゆるBGMをベタ流しにしておくだけです。音楽をただBGMとして流しっぱなしにするのを私は『ベタ流し』と表現しています。
関係ありませんが、昔流行りかけて短期間で廃れたビデオの『ベータ』という規格は、テープ全面を『べたっ』と使うのでこう名づけられたそうです。テープ面に隙間を残すVHSと比較してのネーミングとか。
曲によってはMCさんのアナウンスを邪魔することがあるので、そこだけ気をつけておきましょう。技術よりも、季節とか会場の雰囲気に応じたジャンル選定が大事です。
慣れてくると、だいたいお客が席についた時の雰囲気で披露宴全体の雰囲気が予測できるものです。ロマンチックで洒落た感じになるのか、ド宴会になるのか・・・・・・この時点で、予め組んでいた宴中のBGMの構成を頭の中で組替えたりします。で、MCさんにも 『今日はなんとなく・・・・・な感じになりそうじゃない?』 なんて声をかけておき、お互いの覚悟のテンションを調整します。
緊張の一瞬です。初めてオペレートする方は最高血圧が200を超えそうですね。
他のスタッフとの連携も非常に重要です。これについてはこのページで確認しましたので、ここではMCさんとの絡みを含めた音の出し方に集中して書いていきます。このMCさんとの絡みが、印象をものすごく左右します。しつこいようですが、MCさんと息を合わせられるかどうかで完成度は全然違ってきます。
状況が許す限り、開宴前にMCさんとリハしておいた方がいいです。少なくとも、入場曲の先頭30~60秒程度は聴いてもらうことだけはしておくべきです。そうしておけば、MCさんも本番で慌てることがありません。
そして最低限、MC先行か音先行かを決めておきます。MCさんのナレーションを先に出すのか、曲を先に出すのか、ということです。前奏が15秒以上あるようなら、音先行にしておくのが無難です。
少し脱線します。この記事を書いた当時はCDとMDの全盛期でしたが、2020年代の今はPCDJ、タブレットのDJアプリが便利でいいですね。
さていよいよ二人がメインテーブルに歩み寄っていきます。テーブルに揃ったら、まず間違いなくここで拍手をもらってから二人を着席させるというのがお決まりのパターンですね。
4~5の、煽り~フェードアウト~BGM出しは、自然な感じで滑らかにテンポ良くいきましょう『どの程度の時間をかけたらいいのかな?』と悩んでいるうちに冗長になって、間延びした感じになってしまうことのないように。FMの音楽番組、テレビニュースのオープニングが参考になります。
『軽めのBGM』 がプロフィル紹介にかかる場合、どの程度の尺(時間)になるか事前に確認し、ちょと長そうだったらそれに見合った曲数を準備しておきましょう。原稿があればそれを見せてもらうとか・・・開宴のあいさつなんかで結構冗長になる部分ですから、1曲は余分に用意しておきましょう。極力似たような曲で、つなぎ目が分からないようにクロスフェードでつないでいきます。MCさんが喋ってる間にクロスフェードをすれば、そんなに目立つものでもありません。
また、『開宴挨拶』 『新郎のプロフィル紹介』 『新婦のプロフィル紹介』 で別々に曲を用意しておいて、軽いシーンチェンジを兼ねて曲を変えるのもひとつのテです。でもやりすぎると演出過剰っぽくなってうっとうしいかもしれませんね。センスが問われるところです。
さらに、『新郎のプロフィル』と『新婦のプロフィル』の境目を見極めるのは慣れるまで大変です。可能なら事前にMCさんと打ち合わせを。
7ページにわたって書いてきました。概念的なことにかなりボリュームを割いています。最初から最後まで読み切る方がどれだけおられるか分かりませ。途中を飛ばした方もおられるでしょう。それはそれでいいのです。『そんなの分かってるよ』という部分も多いはずですし、退屈で飛ばされたのなら退屈なテキストを書いた私が良くないのです。
技術を磨くのはとても大切です。MCさんのモチベーションがPAの技術とセンスにかなり左右されることもありますし。
同様に、人としての感性も大切にしましょう。結婚式1本で交流する人の数は一人や二人ではないはずです。すべての人と穏やかな関係性をつくり、お互いにモチベーションを高いレベルで維持できるチームでありたいですね。そのことも素敵なパーティをつくる素材のひとつだと私は信じています。