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本番のオペレート 下ごしらえ

ここでは披露宴を想定して書きます。パーティなんかにも応用はきくかもね。でも、テキストで音の流れを書くのには限界があります。想像力をたくましくして、現場の情景を想像しながら読んでください。

その前に、会場の空気を暖めましょう。

マイクチェック

MCさんのマイクは1本(ワイヤレスも使うのなら2本か)これだ!と決めておき、徹頭徹尾これは変えちゃいけません。まずマイクがちゃんと使えることをMC乗り込み前に確認しておきます。

そして、MCさんに声を出してもらい、音量を調節しながらトーンをいじります。ミキサーによって調整できるポイントは違いますが、最低限HiとLowくらいは調整できるでしょう。でもこれじゃあ足りないのよね。ないのを悩んでても仕方ないのだけど。

とにかくできる限り、お客が聞きやすくてMCさんとしても喋りやすい声に仕上げます。あなたにとって 『歌いやすいカラオケボックス』 『歌いにくいカラオケボックス』 があるのと同じで、MCさんにも喋りやすい・喋りにくい環境があるのです。それを決めるのは、あなたのトーンコントロールにかかっているのです。このトーンコントロールについてはこのページで説明しています。

全体の音量をチェック

いつも仕事してるいつもの会場なら、問題ないでしょう。でも、めったに入ることのない会場などでは、『本番前の客のいない会場』 で出してみた音と、『客が入って開宴してざわついている会場』 では、ずいぶんと聴感上の音の大きさが変わるものです。

まず人が音を吸収します。それに人の会話などのざわつきでPAの出す音が多少かき消されるのです(マスキング効果と言います)。

開宴前に音を出してみてちょっとデカ過ぎるかな、というあたりを基準にしておくといいでしょう。もっとも、その日の集客人数や客層にも左右されますので、臨機応変に。

スタッフ同士の連携

披露宴のように 『会場の外からの』 入場が発生するイベントでは、MCさん・PAと、他のスタッフの連絡がちょっと難しくなります。ドアをはさんでいてはアイコンタクトも取れませんしね。

入場前だと、MCさんとPAは会場内、新郎新婦とキャプテンは会場の外です。ここで、ドアをオープンするタイミングを図るためには、会場内と会場外で何らかの通信手段が必要になりますね。

方法はいろいろ考えられます。

  • 業務用無線機(特定省電力とか。レストランやホテルでの導入は多いでしょう。)
  • 内線電話(コードレスにするとかなり便利)
  • 入場口のドアの両面に誰かを立たせて中継役に(ドアのノックで意思の疎通)
  • PAブースとドアの外側の両方でON-OFFできるランプの設置(私の元職場はこれ)

たとえば入場周辺の動きは

  1. 新郎新婦が入場口の前に揃い、いつでも入場できる態勢になる
  2. それをキャプテンなど先導スタッフが会場内に知らせる
  3. それをMCとPAで確認する
  4. PAが音を出し、MCさんが入場前のナレーションを喋って
  5. ドアを開けろ!というキューをドアマンに送り
  6. おもむろに入場口が開き、新郎新婦が会場内に入ってくる。

という一連の流れになります。ここで、『ドアの外側から、入場準備が整った旨の連絡』 そして『MCとPAサイドから、ドアを開けてくれという合図』 という連絡が必要になりますね。

私が以前勤務していたホテルでは

ウチの場合、入場口の外側(新郎新婦がスタンバイする場所)とPAブースに押しボタン式のランプがあります。 これは3路スイッチ(意味はネットで調べてね)になっていて、入場口でこれを押すと両方とも点灯し、その後ブースで押すと消灯します。
もちろん逆の動作もできますがまぎらわしくなるので、『ドアマンが点灯させてPAが消灯させる』というルールを作っておきます。(実際には点灯ではなく高速点滅させてアテンション効果を高めています)

で、ウチの入場前後の流れは

  1. 新郎新婦が準備おっけ~!となったところで
  2. ドアマンか先導スタッフがボタンを押す → ランプが高速点滅
  3. ブースでも高速点滅するので、PAがこれに気づく
  4. PAがMCさんにキューをだす
  5. PAが音を出し、MCさん喋り、『ご入場です!』
  6. PAがボタンを押す → ランプが消灯
  7. ランプを注視していたドアマンが消灯を確認
  8. ドアオープン、新郎新婦は会場内へ

私はドアを開ける3~5秒の動作時間を考えて、『ここで開けろ!』 という瞬間の3~5秒前にドアマンにキューを出す(ボタンを押して消灯させる)ようにしています。

一時期、特定省電力無線機+ヘッドセットでインカムみたいにしてキューや指示のやり取りをしたこともありましたが、ヘッドセットの音が悪かったのと、結構大きな音を出すシーンがあってお互いに相手の声が聞きづらいといった問題があり、すぐにやめました。