PA初心者必携ウェブサイト(?)
だいたいのホテルなら、PAもホテル従業員、MCは外注というケースがほとんどでしょう。ということは、MCさんはひとりぼっちで、会場に乗り込んでくるんです。この、心細さをまず理解してあげましょう。最近は、PAさんも外注というケースもあるようですね。そこはそれ、お互い心細いどうしで支え合っていい仕事を目指しましょう。
われわれホテルスタッフはだいたい気心の知れた仲間同士で仕事するんですが、MCさんにはその仲間が会場内に一人もいないんです。いくら何度も来てる MCさんでも、彼女(彼)らからすれば受注先の、気を使わなければならないヒトたちばかりなんです。必要以上の緊張を強いられています。
ここは、MCさんから見て一番密接な関係にある(詳しくは後述)われわれPAが、一種の防波堤になってあげるべきです。MCさんて、一度言葉に出したものは引っ込みがつきません。PAも、一度かけてしまった曲は引っ込みがつきません。会場の中で同じ苦労・緊張・楽しさを共有できるのは、PAとMCくらいのものです(語弊のある言い方かもしれません)。だから、会場の従業員という立場から、MCさんと一緒に創り上げていくんだという立場へ、心積もりだけでも変えてみるのが親切でしょう。
ホテルマン時代、結構いろんな会場のいろんなウワサを耳にしました。当時感じたのは、果たして本当に心をこめた披露宴を創れているスタッフってどのくらいいるんだろう、ということです。
これに対しMCさんというのは、新郎新婦や列席のお客様に常に目を配りながら、笑顔ですべてを進めていきます。そこには、どうやったらこの二人のキャラクターを生かした披露宴にできるか、どうやったら会場全体を素敵な空気に変えていけるか、という強い思い入れがあります。
これに応えてあげられるのは、われわれPAしかいません。何かあっても必ず後ろにいるからね、という安心感にはじまり、声質・ナレーションの内容・進行、すべてを音でバックアップしてあげないといけません。
『必ず後ろにいるからね』 とは言っても、たとえば、MCさんが言い間違えたのを修正できるわけではありません。でも、その言い間違えの重大さってのはMCさん自身が一番よくわかっているのです。こんな時、とりあえずその場は 『お互い人間のやることだもんね。』 と笑って流し、終わってから反省すればいいじゃん、という寛容さが欲しいですね。
PAだって曲をかけ間違えることもあるし、バンケットもお客様に粗相をしないとは限らないじゃないですか。あっちゃいけないことだけど、という前提の中で。
初稿は、MCさんとPAを夫婦になぞらえた書き方をしていました。しかし少数派ながら男性MCさんもいるし、そもそもが照れくさい例え方だし、少し表現を変えました。
ここまで書いてきたことと重複しそうなんですが、MCがそう来たらPAはこう出る、その音に乗っかってMCがしゃべる。その流れをきれいに作っていくことで、印象的で自然な披露宴ができるんです。
そこには何でも言い合える信頼関係が必要です。初めて会うMCさんなら、開宴前の1時間でその関係を作り上げます。難しいと言えば難しいのですが、とにかく何でもいいから話をすること。(中には、つんとすましているのか、少々話しかけてもピンとこない方もいらっしゃいますが、それはそれでまあいいでしょう。)
で、『もうすぐ入場ですよ』でなくて『よし、そろそろいくヨ~。』という雰囲気に持っていけたらベストですね。