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はじめに

『ブライダルのPA』の取り扱い範囲

しばらく文字ばかりで、概念的な話が続きますがおつきあいください。

コンサートのPAさんが多数のマイクで楽器などを収音しているのに対し、披露宴では多数の音源(CDとかMDとか)を相手にします。タイミング良く曲をかけたり、それをMCさんのナレーションに絡めたり、むしろDJさんの仕事に近い部分も多いですね。

それでも、マイク1本の扱いからミキサーの構造、音響設備全体のシステムも理解しなくてはいけません。その上に、選曲のセンスとかMCさんとの絡みかたとか、磨いていかなければなりません。そんなふうにブライダルのPAは結構すそ野が広い仕事ですが、『ブライダルのPA』では演出に重きを置いた書き方をします。基礎技術は『ライブやイベントのPA』にゆずります。

実は2003年ごろに私がこのウェブサイトの前身を立ち上げたのは、披露宴の音による演出についてまとめたウェブサイトってのに出っくわさなかったからです。

バンケットエンジニアの宿命

いきなりバンケットエンジニアと表現しましたが、なんとなくついてきてください。気になればウェブ検索を。

はっきり言って、キツい仕事です。私の場合、在職当時はフロントに勤務しながらパンフレット/ちらしの内製もしましたし、会場設備に不具合があれば次の宴会/婚礼に間に合うように修理をしなければいけない立場でした。部品手配が間に合わず修理が不可能なら、応急処置も講じなければいけませんでしたし。さらには会場設備の納入業者が解散してたし、さらにその設備がその業者のオリジナル設計だったし、苦労の連続でした。

過去形の書き方なのは、勤務していたホテルがとうの昔に倒産しているためです。

よほど大きなホテルでもない限り、そのあたりの技術/知識に通じたスタッフはいないでしょう。つまり、誰にも相談できないし、すべての方向性を自分で決定するしかない時が多いのです。一方、渉外スタッフは客の無理難題をどうしても飲まなければいけません。その無理難題を処理するのも、バンケットエンジニア。

現実(というか蛇足)

『音なんて出りゃそれでいいんだよ』という社員もちらほらいましたが、PAとしてそんな姿勢は許されません。もしあなたが真剣にホテルでの演出の仕事に取り組もうとしたら、予想以上の障壁すなわち人の壁にぶち当たることもあるでしょう。

ということで、披露宴演出の夢や楽しさを語りながら、当時のグチもこぼしていくかもしれません。